【格ゲーとプロvol.3】格ゲープロの強さについて考える「ウメハラ」「sako」編。スト5で特に重要な「意識配分」。自分の攻撃をどう通し、どうやって勝つか?

STREETFIGHTER V

スト5の上位勢は他の分野やほかのゲームに比べ、40歳を超えても最前線で戦えるほど年齢層が高い。これはスト5が「反応速度」より「意識配分」が重要なゲームだから。見てから何とかするのではなく、上級者は「相手が何をしてくるか?」を意識していて、それで対応が間に合うことが多い。そういったゲーム性もあり、意識しておいても対応が難しく、ガードさせても状況が良いEXハートレイドやEXゾンクナックル、ついでにそんなに状況悪くないEXタックル等の「中距離からいきなりくる技」を持つキャラがキャラランクの上位にいる。もちろんキャラランクはそれだけの要素ではないけど。

長らく格ゲーをやっている人間は、格ゲーに必要な意識配分に長けている。各ゲージやキャラに対する対戦中の意識だけででなく、格ゲータイトルそのものの「どういうことが強いゲームなのか」から、使うキャラが「どういうキャラなのか?」「そのキャラの何が強いか、弱いのか?」等のシステムの理解が、過去の体験から得られており、把握理解が早い。それらを総合して「勝つために何を意識すべきか」の判断が的確。もちろん意識配分は鍛えることができる。人間のシステムとして飲みこみの速さなどの学習能力は、若い人間の方が圧倒的に上なのは事実。若手プレイヤーの台頭も最近になって著しくなってきた。

という前置きから本題。

ウメハラ:イメージ
人間の能力として、起こりえるすべての出来事は想像することが可能である。ゲームの中という限られた世界ならなおさら。相手が何をしてくるかを見て、相手に対してのイメージを固める。ここまではプロでなくても上級者なら誰でもすること。加えてウメハラ氏の強さは逆に「相手にイメージさせない」こと。何をやってくるかわからないと思わせる。攻略、意識配分を超えた思いもよらない動き。セオリーなど関係ない。相手のイメージを固めたうえで、こちらが通りそうなことを通す。意識配分の外をつくのが強いのであれば、セオリーを外すこともまたセオリー。ウメハラ氏はどんどんイメージを固めるのに対し、相手はまったくイメージが固まらないことが「長期戦に強い」ことにつながる。その人専用のセオリーを作り上げている。

猛者が集まるSFLでも、終わってみれば勝率1位だった。格ゲーチェッカーより。

スト5の中でも名勝負と名高い獣道2は、「ウメハラガイルを対策したときど氏」と、「豪鬼というキャラクターの概念そのものに、ときど氏を加味した対策をしたウメハラ氏」の対決だったように感じた。試合後のようなコメントを残す、試合前のインタビュー。

振り返り配信より。大谷氏(当時豪鬼使い)の住む富山に住む予定だった。

色んな分野含めレジェンドプレイヤーは皆、「勝利条件の把握」が一段階深い。このゲームは必殺技を出すゲームでもなければ、コンボを決めるゲームでもない。相手の体力ゲージを0にするゲーム…でもない。2本先取するゲーム?もっというと、ダブルエリミネーション、各2先、Top8以降3先…等々その状況に見合った勝ち方をするゲーム。1本とられても負けたわけではない。ウィナーズ側で「一回負けても大丈夫」と思うのは危険なこと。有利ではあるがそんなに有利でもない。その時々の「勝利条件の把握」が深く、広い意味で「何が重要か?何を意識すべきか?」の判断が的確。

sako:真のゲーム好き
トレモや実戦で恐ろしいコンボを容易くこなすように見えるが、それはコンボ練習も含めて本人が楽しんでやっているから。コンボの正確さは結局反復でしか身につかない。その反復も楽しい。本当にゲームが好きでやってて、ゲームを楽しいと感じる要素が人より広くて多い。格闘ゲームは対戦も楽しいが、難しいコンボなどができるようになること自体も楽しい。人間は自身の成長に喜びを感じる。成長が自身の発想、努力によるものならなおさら。「自分で考えて攻略する」「自分だけの方法で攻略する」のはゲームの楽しみ方の一つ。

思いついた「これをやったらどうなるだろう?」という事を、トレモ実戦かまわずやってみて、それは大体強いことが多い。ウメハラ氏のセオリーを外す事に近いものがあるが、sako氏の場合はそのキャラ独特の要素であることが多い。その思いついた行動が大体強い。プロゲーマーと言えど相手キャラのすべてを熟知は出来ない。どこまでもゲーム自体を楽しんでいる。それが伝わり、見ている方も楽しい。

割と大事な試合。

初心者講習でのワンシーン。

次回。ちょっと変則的な枠組みで。

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